2026年12月25日に施行される『こども性暴力防止法』によって、日本版DBS制度が導入・運用される予定です。
日本版DBS制度を導入するためには、様々な事に取組む必要があります。今回は国(こども家庭庁)が示したスケジュールをベースに解説をしていきたいと思います。
当ページの情報は執筆時点の情報です。また、こども家庭庁に掲載されている資料等は、随時変わる可能性がありますので、ご注意ください。
執筆日:
参考資料等
事業者向けチェックリスト|こども家庭庁 ※2026年4月23日更新
こども性暴力防止法施行ガイドライン|こども家庭庁
(以降、当サイトでは『ガイドライン』と書きます)
日本版DBS制度導入に向けてのスケジュール


2026年4月23日にこども家庭庁が今後のスケジュールを公表しました。スケジュールは『義務対象事業者』と『認定対象事業者』の2つに分かれています。
まず、この2つ事業者の違いを大まかに説明すると、
- 義務対象事業者は、幼稚園・学校・認可保育所(保育園)・認定こども園などの施設・事業者
- 認定対象事業者は、認可外保育所・放課後児童クラブ・学習塾・スポーツクラブなどの施設・事業者
↓詳しくは、下記の記事をご覧ください。
対象事業者ごとのスケジュールの相違点
上記の2つの表は、似ているようで少々異なります。その違いを解説します。
登録手続き時期の違い
義務対象事業者は、こども性暴力防止法が施行された時(2026年12月25日)には、日本版DBS制度の運用を開始する義務があります。そのため、2026年中にGビズIDの登録だけでなく、事業者の登録等を行う必要があります。
認定対象事業者は、こども性暴力防止法が施行された後に、認定手続きを行う予定です。そのため、まずはGビズIDの登録を行い、認定手続きの備える必要があります。
現職者の犯罪事実確認時期の違い
犯罪事実確認は、こども家庭庁が作成予定のシステム『こまもろうシステム』で行われる予定です。そのため、義務対象事業者のスケジュールにはその旨の記載がありますが、認定対象事業者は、こども性暴力防止法が施行され、認定手続きを行った後の手続きのため、その旨の記載がありません。
ただし、義務対象事業者・認定対象事業者どちらも、犯罪事実確認を行う事に向けて、従業者へ、日本版DBS制度の趣旨・目的の説明や、犯罪事実確認の際に戸籍等を提出してもらう旨の周知を行う必要はあります。
どちらの対象事業者も共通して準備する事
就業規則・服務規定等の見直し
- 次の内容を定めること
- 「児童対象性暴力等」(性暴力)及び「児童対象性暴力等につながる不適切な行為」(不適切な行為)の範囲
- 教育や保育を提供する場においてこれらの行為を行ってはならないこと
- これらの行為を行ったり、それを理由として刑罰を科されたりした場合は、速やかに報告すること
- 内定取消事由や試用期間に係る解約事由として、「重要な経歴の詐称」を定めること
- 懲戒事由として次の内容を定めること
- 重要な経歴の詐称
- 「刑罰法規の各規定に違反する行為が認められた場合」、「企業秩序を乱した場合」等の一般的な刑罰法規違反・企業秩序義務違反
- 「正当な理由なく、業務上の指示・命令に従わなかったとき」等の一般的な業務命令違反
- 「こども性暴力防止法上の「児童対象性暴力等」に該当する行為を行ったとき」、「児童対象性暴力等につながる不適切な行為を行ったとき」
誓約書の準備・見直し
- 特定性犯罪歴が無いことを書面にて明示的に確認
- 犯罪事実確認の結果が異なれば「重要な経歴の詐称」に該当
この「重要な経歴の詐称」がある事によって、就業規則・服務規定違反に繋がります。
就業規則や誓約書の整備は、従業者がもし性暴力等を行った時(犯罪事実確認の結果、過去に特定性犯罪歴がある事が判明した場合も含む)に、配置転換や解雇等の処分をするためのルールを定めておくためですが、実情を考えると、解雇という処分はなかなか行えるものではなく、解雇処分を行なったとしても裁判で無効と判断される事もあります。就業規則や誓約書は、労働審判手続きに詳しい専門家(主に弁護士さん)へご相談される事をお勧めします。
採用募集要項の採用条件、内定通知書の見直し
- 採用募集要項の採用条件に、特定性犯罪歴が無いことを明示すること
- 内定通知書等に内定取消し事由として「重要な経歴の詐称」を定めて説明しておくこと
- 誓約書、履歴書等を通して、特定性犯罪前科の有無を書面等で明示的に確認すること
- 犯罪事実確認の結果が異なれば「重要な経歴の詐称」に該当
この「重要な経歴の詐称」がある事によって、内定取消しや、就業規則・服務規定違反に繋がります。
上記の3つについては、防止措置を行うためのものです。
詳細は下記の記事をご覧ください。
制度対象従事者の選定
教員や先生は対象業務従事者ですが、それ以外の業務従事者が制度の対象者かどうかを判断・選定します。
- 各施設・事業所における対象業務従事者の範囲の決定
事務職員・バス運転手・清掃員・警備員等
犯罪事実確認の対象従業者の選定です。犯罪事実確認は、施設・事業所で働く全ての職員(従業者)が一律に対象となるわけではなく、子どもに対する支配性・継続性・閉鎖性の3要素全てを満たす方が対象になります。
↓犯罪事実確認の対象従業者の判断については、下記の記事をご覧ください。
現職者への研修実施
こども性暴力防止法
第8条 学校設置者等は、児童対象性暴力等の防止に対する関心を高めるとともに、そのために取り組むべき事項に関する理解を深めるための研修を教員等に受講させなければならない。
第20条第1項第5号 認定を受けようとする民間教育保育等事業者が、児童対象性暴力等の防止に対する関心を高めるとともに、そのために取り組むべき事項に関する理解を深めるための研修として内閣府令で定めるものを前条第三項第四号の業務に従事する者に受講させていること。
日本版DBS制度を導入する施設・事業所では、『子どもと接する仕事に就く方』いわゆる従業員の方への研修が必要です。
↓従業者(従業員)への研修については、下記の記事をご覧ください。
児童対象性暴力等対処規程の策定(認定対象事業者のみ)
こども性暴力防止法
第20条第1項第4号 認定を受けようとする民間教育保育等事業者が次のイからハまでに掲げる措置を定めた規程(以下この章において「児童対象性暴力等対処規程」という。)を作成しており、かつ、その内容が内閣府令で定める基準に適合するものであること。
日本版DBS制度を導入する認定対象事業者の施設・事業所では、『児童対象性暴力等対処規程』を作成する必要があります。
この児童対象性暴力等対処規程は、犯罪事実確認の結果や、性暴力等の疑いやおそれがあった時(児童・保護者等からの相談や被害の訴えがあった時など)に、どのような対応をするのかをルール化した物です。
別の記事で詳細を解説する予定です。
情報管理規程の策定
犯罪事実確認の照合結果である犯罪事実確認書や、その情報に係る記録は極めて機微性の高い個人情報です。
そのため、その情報を取扱うための施設・事業所内ルールである『情報管理規定』を策定する必要があります。
別の記事で詳細を解説する予定です。
まとめ
今回は国(こども家庭庁)が示したスケジュールをもとに、2026年12月25日に運用が開始される日本版DBS制度について施設・事業所の方々が準備する事を解説しました。
まず、学校・幼稚園・認可保育園などの施設・事業者は義務対象事業者ですので、運用開始と同時に日本版DBS制度への対応が必要になります。そのため、GビズIDの登録も含めて事業者登録の準備も必要ですが、さらに従業者(従業員)の研修・制度を理解するための説明、安全確保措置や防止措置等を行うための施設・事業所内のルール作りが必要です。
次に、認可外保育所・放課後児童クラブ・学習塾・スポーツクラブなどの施設・事業者は認定対象事業者ですので、運用開始後の事業者登録手続きとなります。その点は義務対象事業者と比べて余裕があるようにも思えますが、従業者(従業員)の研修・制度を理解するための説明、安全確保措置や防止措置等を行うための施設・事業所内のルール作りは前もって取り組んでおいても良い事柄です。
義務対象事業者・認定対象事業者どちらにも共通して言える事ですが、従業者への研修・制度の理解、誓約書や服務規定の見直しも含めた採用・雇用・業務従事への対応は、出来る限り早く対応を始めた方が良い分野です。
日本版DBS制度は難しい・複雑な事も多い仕組みですが、日本版DBS制度を通じて、子どもが安心して教育・保育等を受けられる環境づくりを目指していきましょう。
