定款は、古物商許可や、産業廃棄物収集運搬業許可など、様々な許可申請のときに行政機関から提出を求められます。株式会社であれば、会社の設立時に公証人から認証を受けた書面があると思います。それが定款です。

では、その定款って一体何でしょうか?定款は変更ができるのでしょうか?定款には何が記載できるのでしょうか?

「定款」に関する様々な疑問等を解説していきます。

定款って何?

定款(「ていかん」と読みます)は、法人等(団体や会社)の、組織や活動の基本的なルールを定めたものです。また、それらを書かれた書面自体のことを定款と呼ぶ場合もあります。
定款を作成することにより、法人等のルールを明確化、書面化(または電磁的記録化)して確定させます。

原始定款とは?

法人等の設立時に作成する定款です。株式会社の設立を行う場合は、公証人による認証を受ける必要があります(会社法 第30条)。

株式会社以外でも、一般社団法人や一般財団法人、行政書士法人などの設立を行う場合も、公証人による認証が必要です(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 第13条など)。

なお、合同会社などの持分会社は、公証人による認証は不要です。

会社法 第二十六条

株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。

会社法 第三十条

第二十六条第一項の定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない。

出典:e-Govポータル (https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417AC0000000086)より抜粋

現行定款とは?

定款は法人等のルールですので、法律に違反しない範囲で、記載内容(定款の記載事項)を変更することができます。例えば、本店や支店の所在地を変更(移転など)する場合や、目的を変更(新規事業の展開など)する場合などです。これらの変更を行った最新の状態の定款を「現行定款」といいます。

設立から現在に至るまで定款の変更がない場合は、
原始定款=現行定款となります。

なお、様々な許可申請のときに行政機関から提出を求められる定款は、現行定款です。

定款の変更は、法人等のルールを変えることですので、厳格な手続き(株式会社の場合は、株主総会の特別決議)が必要です。

定款の記載事項についてはこちら(定款の記載事項について)

定款変更ついては「定款変更について」をご覧ください。

株式会社などの場合、設立時に公証人の認証が必要ですが、定款変更時は公証人の認証は不要です。

定款の記載事項について

定款には、必ず記載(規定)しなければいけない事項(記載がないと定款が無効となる)や、記載しなくてもいいが記載がないと効力が認められない事項などがあります。

定款に記載した事項を変更する場合は、定款変更が必要です。

絶対的記載事項

項目備考
目的法人等の事業目的
商号法人等の社名
本店の所在地法人等の所在場所の最小行政区画
例)福岡県嘉麻市
  福岡県福岡市博多区 など

※登記事項証明書(法人登記簿)の「本店」は、具体的な本店の場所となりますので、番地やビル名などが必要です
設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
発起人の氏名または名称および住所
発行可能株式総数定款の認証時まで定めておく必要はありません。
ただし、定款の認証時までに定めていない場合は、法人等の成立時までに様々な手続きを行って定款を変更し、定める必要がある項目です(会社法 第37条第1項)。

相対的記載事項

相対的記載事項は、定款に記載しておかないとその事項の効力は認められない事項です。記載がなくても定款自体が無効にはなりません。
※下記は一例です

  1. 現物出資に関すること
  2. 財産引渡に関すること
  3. 発起人の報酬・特別利益に関すること
  4. 設立費用に関すること
  5. 株式の譲渡制限に関すること
  6. 会社の機関(取締役、監査役、会計参与など)に関すること
    取締役会の設置や、役員(取締役・監査役など)の任期など
  7. 株券発行に関すること
  8. 公告の方法

1〜4は、変態設立事項(会社法 第28条)と呼ばれています。発起人の自由に任せると、法人等の財産的基礎を危うくする可能性がある事項です。

任意的記載事項

任意的記載事項は、定款に記載しなくてもよく、定款以外の方法で規定しても効力が発生する事項です。
※下記は一例です

  • 役員(取締役・監査役など)の人数
  • 事業年度の期間
  • 株主総会の招集時期
  • 株主総会の議長の決め方