廃棄物には、事業活動に伴い排出される産業廃棄物と、それ以外の一般廃棄物があります。
一般廃棄物は産業廃棄物以外の廃棄物ですので、一般家庭のゴミや、事務所の紙ゴミ、飲食店の生ゴミなどが該当します。

もちろんこの一般廃棄物についても、収集運搬業の許可があります。
一般家庭が排出するゴミの収集もそうですが、「遺品整理」や「特殊清掃」の業者などが、家庭から出る不用品などの廃棄物を有償で収集・運搬する場合は、この一般廃棄物収集運搬業の許可が必要です。

このページでは、一般産業廃棄物収集運搬業の許可について、少し解説します。

一般廃棄物収集運搬業とは?

一般廃棄物収集運搬業とは、一般廃棄物の収集・運搬を業として行うことを言います。簡単に書くと下記のような場合に必要な許可です。

  • 事業活動によって生じた廃棄物の内、産業廃棄物に該当しないものを有償で収集・運搬
  • 一般家庭から排出される廃棄物を有償で収集・運搬

新規に許可を取得できる?

まず、結論から書きますが、「非常に難しい」というのが現状です。
それは、一般産業廃棄物は、産業廃棄物と違い、下記の事情があるためです。

  1. 一般廃棄物の処理責任は、市町村にあること(産業廃棄物の場合は、排出する事業者)
  2. ゴミの分別やリサイクルなどにより、年々ゴミの排出量が減少しており、現在許可を持つ業者だけで収集運搬が十分に行えるため、新たに許可を出す必要がないこと。
  3. 許可・不許可を判断するのは市町村であること。そもそも新規の申請を受け付けていない市町村があること。

2のゴミの排出量については、詳しくは下記をご覧ください。

一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和3年度)について |環境省

3については、廃棄物処理法 第7条第5項に下記のように定められており、市町村が今の処理能力で足りている(現在許可を持つ業者だけで十分である)と判断した場合は、許可を出してはいけないとされています。

廃棄物処理法 第七条第5項

市町村長は、第一項の許可の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。

 当該市町村による一般廃棄物の収集又は運搬が困難であること。

(以下省略)

出典:e-Govポータル (https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000137)より抜粋

「収集又は運搬が困難」の基準は、環境省より一定の指針があります。要約すると下記のようになります。

  1. 一般家庭から生ずる通常の一般廃棄物については、原則として困難とはいえない
  2. 工場又は事業場から生ずる通常の一般廃棄物については、量や性質等が特殊なものは困難と認定されるが、原則として困難とはいえない。
  3. 上記1と2のケースで困難といえない場合でも、夜間に収集をする必要があるものは、困難と認定できる場合がある

平成15年03月17日 環廃対213号|環境省

許可の取得をお考えの方々へ

この記事をお読みの方の中には、「遺品整理」や「特殊清掃」を行おうとお考えの方もいらっしゃると思います。その際にあると便利な許可の1つがこの「一般廃棄物収集運搬業」の許可です。

遺品整理や特殊清掃を行うと、様々な物が出てくると思います。
その時に排出された物の内、価値があって買い取ったものは古物となりますが、ゴミなどは一般廃棄物です。また、客先にある不用品を引き取ることがあると思います。これらゴミや不用品を「処分費用」や「処理費用」などの費用をいただいて収集をすれば、それは一般廃棄物の収集に該当します。
一般廃棄物を有償で引き受ける場合、一般廃棄物収集運搬業の許可が必要です。

許可が必要。しかし許可はおりない?

遺品整理や特殊清掃などの事業で、ご自身の企業だけで、ワンストップのサービス提供ができるのであれば、それは利用者にとって便利なサービスであると思います。

しかし、「許可を新規に取得できる?」でご説明したとおり、一般廃棄物収集運搬業の新規申請は、まず許可がおりないというのが現状です。

いやいや、何を言ってんの?必要だから取りたいんだよ?というお気持ちも分かりますが、一般廃棄物収集運搬業の新規申請は、まず許可がおりないのが現状です。

それならどうする?

まず、遺品整理や特殊清掃などで出た有価物の買取(および販売)は、古物商許可が必要です。この古物商許可は、個人・法人どちらであっても一定要件を満たせば取得することができます。

古物商許可については、専用サイト「古物について|筑豊で古物商許可」で解説しています。そちらをご覧ください。

筑豊で古物商許可
古物商許可の申請だけでなく、古物や古物取引の解説も!

一般家庭から排出されたゴミなどの一般廃棄物は、既に一般廃棄物収集運搬業許可を持たれている業者さんに依頼や、その業者さんと提携をされることをお勧めいたします。

なお、産業廃棄物収集運搬業の許可で、一般廃棄物を収集・運搬することは出来ません。
(無許可営業となります)

産業廃棄物収集運搬業許可で一般廃棄物の収集・運搬を行なった場合、無許可営業(廃棄物処理法 第25条第1項第1号違反)に該当し、重い罰則を受けます(5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金又はこの併科)。

また、罰金以上の刑の廃棄物処理法違反のため、欠格要件に該当し、お持ちの産業廃棄物収集運搬業許可の取消処分も受けます。