産業廃棄物の処理の流れ

産業廃棄物の処理の流れ図

産業廃棄物の処理は、「収集運搬」、「中間処理」、「最終処分」の3つの工程で行われます。これらを排出業者より依頼(委託)を受けて行う場合、都道府県知事等の許可が必要です。

産業廃棄物収集運搬業に関する許可

産業廃棄物収集運搬業許可とは?

産業廃棄物収集運搬とは、その名前のとおり、産業廃棄物を収集・運搬することです。この産業廃棄物の収集・運搬を行う業種を、産業廃棄物収集運搬業と言います。

この産業廃棄物収集運搬業は、誰でも行えるものではなく、都道府県知事等が出す「産業廃棄物収集運搬業許可」を持った業者のみが行うことができます。

産業廃棄物収集運搬業は、排出事業者から委託を受けて、産業廃棄物の収集運搬を業として行おうとする者です。
「業として」とは、「有償」だけでなく「無償」であっても反復継続して行っている場合は、業として行おうとする者に該当します。

産業廃棄物の排出業者が、自身でその産業廃棄物を運搬する場合は、産業廃棄物収集運搬業許可を取得する必要はありません。

例)住宅の新築・改築・解体の場合
排出した廃棄物(紙くず、木くずなど)の排出業者=元請業者となります。そのため、元請業者が自身で産業廃棄物を運搬する場合は、産業廃棄物収集運搬業許可は不要です。

ただし、下請業者が産業廃棄物を運搬する場合は、排出業者≠下請業者となり、産業廃棄物収集運搬業許可が必要です。

なお、一般廃棄物(産業廃棄物以外の廃棄物)を収集運搬する場合は一般廃棄物収集運搬業許可が、荷物を運ぶ場合は運送業の許可(一般貨物自動車運送事業許可など)が必要です。

一般廃棄物や荷物を、産業廃棄物収集運搬業許可で収集運搬することはできません。

特別管理産業廃棄物収集運搬業許可とは?

産業廃棄物は、普通の産業廃棄物と、特別管理産業廃棄物があります。

特別管理産業廃棄物とは、爆発性・毒性・感染性があり、取扱い方法を間違えると、人の健康や生活環境に深刻な影響を与える可能性が高い廃棄物です。
産業廃棄物の一部ですが、普通の産業廃棄物よりも厳格な管理を求められます。

この特別管理産業廃棄物を収集運搬する場合は、特別管理産業廃棄物収集運搬業許可を取得する必要があります。

積替保管とは?

積替保管とは、収集運搬の効率化を図るために、産業廃棄物を収集運搬の途中で特定の保管場所(積替保管施設)で一旦保管し、ある程度の量がたまった後にまとめて処分場等に運搬することです。

積替保管なし
=積込む場所 → 卸す場所まで直送
※原則的に、積込んだ日に処分場に持って行く必要があります(例外あり)

積替保管あり
=積込む場所 → 保管場所(または別車両に積替) → 卸す場所

積替保管ありの例
道路の道幅などの都合で、積載量が少ない(軽トラックなど)で積込む場所と卸す場所を何往復もしなければいけないような場合、処分場まで直送せず保管場所に集め、ある程度の量がたまったら10tトラックで運搬するようなことが可能になります。

「積替保管あり」は、運搬コストを抑えることができますが、業者の事業規模・業態・運搬計画などによって違いがあるため、一概にどちらが良いか判断することはできません。

一般的には「積替保管なし」の申請が多い状況です。

産業廃棄物処理施設の設置、産業廃棄物処理業の許可等に関する状況(令和3年度実績)|環境省 より

許可には区域(範囲)がある

産業廃棄物収集運搬業許可は、都道府県知事等が許可を出します。
※1つの政令市内のみで業務を行う場合は、当該政令市長の許可(福岡県では、北九州市、福岡市、久留米市)。

1つの都道府県内で収集運搬を行う場合は、その都道府県知事の許可を取得すれば良いのですが、県をまたいで収集運搬を行う場合は、産業廃棄物を積込む場所・卸す場所それぞれの都道府県知事の許可が必要です。

例)大分県から佐賀県に運搬する場合

大分県と佐賀県の許可が必要です。

  • 経由地(福岡県)の許可は不要
  • 収集運搬業者の所在地が福岡県でも、積込む場所や卸す場所でなければ福岡県の許可は不要
  • ただし、福岡県で積替保管を行う場合は、積替保管場所(福岡県)の許可が必要
大分県から佐賀県へ産業廃棄物を収集運搬する場合

廃棄物処理法 第十四条特別管理産業廃棄物の場合は、同法第十四条の四

産業廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその産業廃棄物を運搬する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。

出典:e-Govポータル (https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000137) より抜粋

許可には期限がある

産業廃棄物収集運搬業(または処分業)許可の有効期限は5年間(優良産業廃棄物処理業者の認定を受けた者は7年間)です。つまり、産業廃棄物収集運搬業を続ける場合は、有効期限ごとに許可を更新する必要があります。

詳しくは「更新許可申請とは?|産業廃棄物収集運搬業許可を取得後」をご覧ください。

産業廃棄物処分業に関する許可

産業廃棄物は、処分しやすくする為に大きさを小さくしたり、再利用(リサイクル)しやすくする為に選別したりして最終処分場に送られます。

このように産業廃棄物に物理的・化学的な変化を加える事を中間処理といい、中間処理を行った後の残渣(ざんさ:残りかす)を埋立等により処分する事を最終処分といいます。

この産業廃棄物処分業は、誰でも行えるものではなく、都道府県知事等が出す「産業廃棄物処分業許可」を持った業者のみが行うことができます。

中間処理

中間処理は、産業廃棄物の性状に応じて、破砕、脱水、焼却、選別、油水分離、固化、溶融などが行われます。これらの処理により、産業廃棄物の保管・運搬をしやすくしたり、再利用(リサイクル)や焼却による腐敗の防止・殺菌などを行い、最終処分をしやすくします。

最終処分

中間処理を行った後の残渣を埋立等により処分します。最終処分の一番の目的は、産業廃棄物を安定化させ(変化させず、環境にも影響を及ぼさない状態にし)、有機物の分解により自然に還すことです。